東京都目黒区中根。
東急東横線・都立大学駅から徒歩約1分という場所にあるのが、「手打ち蕎麦 なみの」さんです。
2026年にオープンした新しい蕎麦店で、店が掲げるのは「挽きたて・打ちたて・茹でたて」という、昔から蕎麦の美味しさを語るうえで大切にされてきた“三たて”。
玄そばや丸抜きを必要な分だけ都度石臼で挽き、新鮮なそば粉から手打ちするスタイルを特徴としています。単に駅前で気軽に蕎麦を食べられる店ではなく、玄そばから一枚の蕎麦になるまでを自ら手掛ける、本格的な自家製粉の蕎麦店。蕎麦好きの僕から見ると、この「玄そばから挽く」という部分にこそ、なみのさんの魅力とおもしろさが感じられます。
「手打ち蕎麦 なみの」が大切にする“三たて”
美味しい蕎麦を表現する言葉としてよく使われるのが、
挽きたて・打ちたて・茹でたて。
「手打ち蕎麦 なみの」さんも、この三つを店の流儀として掲げています。
蕎麦は非常に繊細な食べ物で、特にそば粉は玄そばの実を粉にした瞬間から空気に触れる面積が大きくなり、時間の経過とともに香りや状態も変化していきます。
だからこそ、玄そばや丸抜きの状態で管理し、必要に応じて石臼で製粉することには大きな意味があります。なみのさんではその都度丁寧に石臼挽きし、鮮度の高いそば粉を使っていることを公式に打ち出しています。
これは製粉屋の視点から見ても興味深いところ。
「どんな玄そばを使うのか」だけでなく、
いつ、どのように挽くか。
どのような蕎麦を、どう打つか。
いつ茹でるか。
この一連の仕事によって、最終的な一枚の蕎麦が出来上がるからです。
店内の石臼で玄そばから挽く「自家製粉」
手打ち蕎麦 なみのさんの蕎麦を語るうえで外せないのが、自家製粉です。
石臼挽きの魅力は、単に昔ながらの製法ということではなく、石臼は玄そばを石と石の間ですり潰しながら粉にしていきます。石臼の回転速度や目立て、投入量、玄そばの状態などによって、出来上がる粉の粒度や性質は変化します。
そして、その粉をどのような蕎麦に仕立てるのかが興味深いところ。
細く端正に打つのか。
やや粗さを残して穀物感を楽しませるのか。
喉越しを重視するのか。
噛んだときの甘みや余韻を表現するのか。
自家製粉をされる蕎麦店のおもしろさは、「製粉から蕎麦づくりが始まっている」ところにあります。
なみのさんもまた、玄そばから石臼で挽くことで、一杯の蕎麦を組み立てている店です。

▲数量限定 十割蕎麦(福井県永平寺町産:永平寺在来)※写真は小盛り
まずはシンプルな蕎麦で「香り」を楽しみたい
自家製粉の蕎麦店を訪れたら、個人的にはまずシンプルな冷たい蕎麦を味わいたくなります。
蕎麦をつゆにはつけずに、そのまま口へ運びます。
鼻に抜ける香り。
噛んだときの甘み。
舌に残る穀物感。
歯切れ。
のどを通った後の余韻。
蕎麦は、つゆをつけずにそのまま食べると、そのお店が目指している方向性を感じ取りやすく、特に挽きたてのそば粉を使うお店は、香りを意識しながら味わってみてほしいです。
蕎麦は派手な料理ではなく非常にシンプルだからこそ、玄そばの状態、製粉、加水、水回し、延し、切り、茹でという一つ一つの仕事が、そのまま食感と風味になって現れます。
「蕎麦を食べて帰る」だけではない。蕎麦前も楽しめる
手打ち蕎麦 なみのさんの魅力は、蕎麦だけではなく、天ぷらや魚、鰻などを肴に酒を楽しみ、最後を手打ち蕎麦で締めるという「蕎麦前」の使い方ができるところが大きな魅力。日本酒や焼酎も充実しているため、昼からでも酒と料理からゆっくり楽しんで最後は蕎麦。そんな二つの使い方ができるのも魅力です。蕎麦好きにとって、酒 → 肴 → 天ぷら → 蕎麦 という流れは、単なる食事ではありません。江戸から続く蕎麦屋文化の楽しみ方の一つです。
和モダンな空間でゆっくり味わう蕎麦
店内は、コンクリート打ちっぱなしの質感と木の温もりを組み合わせた和モダンな空間で、昔ながらの民芸調の蕎麦屋とは少し違い、現代的で落ち着いた雰囲気です。テーブル席に加えてカウンター席も設けられているので、一人で蕎麦を手繰るのはもちろん、夫婦や友人との食事、夜の蕎麦前などにも使いやすい。
そして何より、都立大学駅から徒歩約1分という立地。東京都目黒区中根1丁目にあり、東急東横線を利用すればアクセスしやすい場所です。駅前という日常的な場所にありながら、本格的な自家製粉・手打ち蕎麦を味わえる。ここも「手打ち蕎麦 なみの」さんの大きな魅力だと思います。
蕎麦好きとして注目したい「玄そばから一杯まで」の距離
僕が「手打ち蕎麦 なみの」さんで特に注目したいのは、やはり自家製粉による玄そばから一杯の蕎麦までの距離の近さです。
生産者が育てたソバが原料(玄そば)になる。
玄そばを石臼で挽く。
水を加えて生地にする。
延して、切る。
注文に合わせて茹でる。
冷水で締める。
そして客の目の前へ。
蕎麦という料理は非常にシンプルですが、その裏側にはこれだけの工程があります。
手打ち蕎麦 なみのさんが掲げる、「挽きたて・打ちたて・茹でたて」とは、その工程をできる限り良い状態でつなぎ、一枚の蕎麦として届けるということでもあります。玄そばを自ら石臼で挽くからこそ、蕎麦は厨房に入る前、製粉の段階から始まっている。製粉屋の視点から見ても、そこにこの店の魅力を感じます。
都立大学で本格手打ち蕎麦を味わうなら「なみの」
「手打ち蕎麦 なみの」さんは、華美な演出で蕎麦を見せるというより、石臼挽き、自家製粉、手打ち、茹でという基本を大切にする店と言えます。
昼なら、まずは冷たい蕎麦をじっくり。鴨が好きなら炙り鴨せいろ。夜なら、日本酒と酒肴、天ぷらを楽しみ、最後に手打ち蕎麦で締める。その日の目的によって、さまざまな蕎麦の楽しみ方ができます。蕎麦のおいしさは、茹で上がった麺だけで決まるものではありません。どんな玄そばを選び、どう挽き、どう打ち、どう茹でるのか。そのすべてが、一口目の香りや食感につながっています。都立大学で蕎麦を探しているなら、おすすめしたい一軒です。
[手打ち蕎麦 なみの]
〒152-0031 東京都目黒区中根1丁目6−1 ニューヨークコーナ 2F
電話:03-4400-8182
営業時間:11:30~15:00/17:00~21:30
定休日:年始(不定休)










