カガセイフンの石臼
お客様に満足していただけるそば粉作りに欠かせない石臼は
私たちにとって大切なパートナーです。
お客様に満足していただける
そば粉作りに欠かせない石臼は
私たちにとって大切なパートナーです。
石を切り出してから
約20年寝かせる理由
石臼は20年寝かせて初めて一人前の石臼になる。
その理由は石に含まれる水分量。切り出してすぐの石は一定量の水分を保有しています。
そのため、すぐに使うことはできなくもないが、年数の経過とともに水分が抜け歪み
が生じる。そうなると石臼が咬み合わなくなり粉が挽けなくなる。
一回でも歪んでしまうと成型したり上下臼を摺り合わせるのが非常に難しいので、
まずは寝かせて石に含まれる水分をある程度抜いてから再度、成型と目立てを
施さなければなりません。
ですから、カガセイフンでは石を20年寝かせて水分を十分抜いてから、
そば粉を挽かせるのです。
最古で200年を
超えるものがある
最古で
200年を超えるものがある
当社の石臼は、古いもので創業当時より受け継がれてきた100年以上前
のものから、3代目が使用していた石臼(現在まで約80年間使用)、3代
目が4代目へ残した石臼(現在まで約60年間使用)、そして4代目が残した
石臼(現在まで約40年間使用)、そのすべてを現在でも現役で使っております。
同じ産地の石であるはずなのに古いものほど石のキメが細かいので、挽き上がりがと
てもなめらかでしっとりとしたそば粉が得られます。年月を負うごとに目が減って石臼
の高さが低く、そして軽くなってきます。その都度、重さを足しながらすべて同じ条件で製粉
することに心がけております。数十年前までには福井に数多くいた石工や目立て専門の職人(目取り)
は機械製粉の普及によってその姿を消していきました。先代が今に残す福井で採れた小和清水石臼は、やわらか
すぎず硬すぎず福井の小粒で詰まった玄そばを挽くにはとても適しており、この石臼があればこそ、旨みがたっぷり詰まったあの越前のそば粉を挽くことができるのです。
これからもこの石臼と石臼で挽くそば粉を大切にしていきたいと考えております。先代から伝わる石臼挽きへのこだわりと感謝の気持ちを込めてお届けします。
石臼挽きのそば粉の実力
越前福井のミネラルたっぷりな水と 福井在来種玄そば素材のおいしさを引き出す石臼による製粉明治10年 粉奈商時代より135余年末吉の粉奈屋
で続けられてきたそば粉づくりの様子です。
工場内は品質の均一化を測るための設備は一切ございません。越前福井で採れたそばを自然のままに少しでも良い状態で製粉が出来るよう努めており
ますので、産地の違いがそのままそば粉へ伝わります。工場を市街地から離れた場所に移築したのも、より自然に近い環境でそば粉が挽けるようにと
の強い思いがあったからです。
気温・湿度・天気などの環境が変われば当然、そば粉の仕上がりも違ってまいります。また、 福井県内でも原料の産地によって特色や特徴があるため、
毎日、全く同じそば粉になることはありません。日々、違う表情を見せてくれます。夏の暑い時期には、工場内を涼しく保つので私どもは温かい格好
で作業し、冬の寒い時期には、工場内が乾燥しますので湿度を保ちます。
石臼で挽きたてのそば粉は手でギュッと握り締めたときの触感がしっとりとしていて、握った時の手の形がそのまま残ります。
水分も14~16%ほど残っていますから水回し(加水)の工程でそば粉と水がうまく混ざり合います。加水した瞬間に立ち上ってくるそばの香りは
たまりません。
ロール製粉の良し悪し
そばの製粉方式には【石臼挽き】と【ロール挽き】、今はあまり採用されませんが【胴挽き】という方法があります。
【ロール製粉】は、2つの重なったローラーを内側に引き込むように高速回転させ、ローラーに刻んだ溝で潰すように製粉していきます。粉自体の粘りは
生まれにくく、非常に摩擦が大きいために熱を帯びてしまいその時点で香りと味わいが損なわれてしまいます(「粉が焼ける」と表現します)。ソバが加
熱されることで香りが飛び、水分が奪われ、パサパサで粘りの無い粉になってしまい、手打ちで蕎麦を打つには向きません。
しかし近年、ロール製粉の品質向上にあたり私どもの経験上、夏場の暑い時期以外は「粉が焼ける」という現象は起こりにくくなりました。
この製粉方法の大きな特徴は、1番粉、2番粉、3番粉の挽き分けができるという点です。これによって、一般のお客様は元より各お蕎麦屋さんのお好み
に合わせた幅広いニーズに応えることが可能となりました。
【1番粉】
ソバの実の中心部分にあたる純白のそば粉で、透き通ったのど越しの良い麺に仕上がります。花粉(打ち粉)や更科粉(御膳粉)、韓国冷麺用粉として使われ、柚子や抹茶を加えて変わり蕎麦を打たれる場合もこのタイプのそば粉ですね。 香りは弱いのですが、甘みがありでんぷん質主体のサラサラとした触感です。
【2番粉】
ソバの中層部分にあたる褐色のそば粉で、ほのかな甘みと香りを持ち合わせています。粒子が非常に細かいので製麺するとツルッとしたのどごしが感じられます。韓国冷麺・製菓用粉としても対応します。1番粉よりも茶色がハッキリ出ますので、お店によってはこのタイプのそば粉が好まれます。
【3番粉】
ソバの実の外側部分にあたる茶褐色の甘皮粉あるいは皮粉です。皮ぎしの栄養が詰まっている所で、色が濃く香りも強いのが特徴です。ソバクレープ・ガレットなどのお菓子に使っていただくと良いですし、ご使用のそば粉に添加することで香りを高める助けをします。
絶えた技術
もう新しい石臼は作られない
福井産の石を使った石臼づくり。
実はその技術を持った最後の職人さん(清水正生さん)は既に他界されていて、
その石臼作りの技術は絶えてしまいました。
つまりもう新しく作ることはできないのです。
しかし、カガセイフンには受け継がれきた石臼たち、
そして清水さんや先代からの助言によって受け継がれてた目立ての技術があります。
そして、カガセイフンには清水さんの作った石臼が数台寝かせていてその出番 を待っています。
カガセイフンがこの目立ての技術を受け継ぐ限り、これからも長い間福井原産
の石臼挽きそば粉が食べられます。
ご安心ください。