松江市にある「中国山地蕎麦工房ふなつ」さんは、前々から行ってみたいと思っていたおそば屋さんで、約5年ほど前に家族旅行のついでに立ち寄ったのですが、その時にはすでに麺切れ終了だったので、今回2度目の訪問にしてやっとお店に入ることができました。
今回は確実に入店できるように開店15分前に到着。平日だったので列はついていませんでしたが、5分前には車や自転車、歩きでやってくるお客さんが一人二人と集まりだし、開店早々満席に。15分経つ頃には外待ちの列が付くようになっていました。
驚いたのはお客さんの層で、観光客はもちろんいますが常連さんが多く、注文するメニューが決まっているのか、お店に入るなり何も言わずともオーダーが通っており、美味しそうに蕎麦を平らげたら早々にお店を後にする姿がとても良い雰囲気で、地元のお客様に愛されたお蕎麦屋さんだなぁ・・としみじみ思いました。お客様とそば屋の信頼関係というか、親子2代3代に渡って長いお付き合いをされている方も多いんでしょうね。こういう関係は業種が違えど大切にしたいものです。
▲店内入口：そば打ち台と奥に石臼が設置されています
ふなつさんの蕎麦のこだわりとしてメニューにはこうあります。
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中国山地奥出雲馬木は高冷栽培適地。ルナール丘のソバ畑で自家栽培、地元の契約栽培も27年目。8月上旬に播種して、10月下旬には収穫出来ます。玄ソバを低温で、夏用には真空パックで保管し、粉は石臼自家製粉です。出雲地方の環境で育ったソバは十割の「割子そば」と「かまあげそば」が基本で、この粗碾きの粉が目指しているのは昔風粗野な穀物の味です。
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▲ざるそば（細打ち：脱皮して挽いた粉）
配されてうわっ！と感じる美しい一枚。薬味には山葵、ネギ、やや辛味のきいた大根おろし。そして、粗挽きのそば粉が溶け込んだポタージュスープのような濃厚なそば湯。
まずは、せいろをもって鼻に蕎麦を近づけて香りを楽しみます。ソバの香りと穀物の甘い香りが混在する胸の空くような香りに幸せな気持ちになります。もちもちっと弾力のある食感で噛むと上品な甘みを感じ、見た目の粗挽き感とは裏腹に意外とのど越し良くスルスルいただけます。
▲割子そば 3段（殻つきを挽いた粗挽きの粉）
こちらは出雲そばの王道。薬味は青ネギ、辛味の弱い大根おろし、削り節、刻みのり。蕎麦は玄そば丸ごと挽いた味濃い挽ぐるみだから、蕎麦の味がガツンと来るけど後味はすっきり爽やか。せいろとは異なる甘めの出汁も挽ぐるみの蕎麦に良く合います。
黒めの蕎麦や薬味が同じなので福井の越前おろしそばよろしく、大根おろしとネギ、カツオを乗せて食べてみましたが、これは越前おろしそばとは似て非なるもの。これはやっぱり出雲そばで、越前おろしそばか？と言われるとちょっと違う。すごく不思議な体験でした。
個人的に一番美味しと思ったのは、この濃厚なそば湯に蕎麦をくぐらせて釜揚げ蕎麦風にした食べ方。蕎麦の香りや味わいがさらに増して思わず顔がほころんでしまう美味しさ。これ超おすすめです！
箸休めに添えられていたのは、固めの蕎麦がきに多分、そば粉をまぶして揚げた揚げ餅風の一品。
表面はサクッとしていて香ばしく、固すぎず柔らかすぎない絶妙なモチモチ感で甘じょっぱい醤油と大根おろしによく合います。
もうひと品、口直しとして蕎麦ぜんざいもいただきました。
甘さ控えめの粒あんにそば湯と蕎麦がきの中間くらいのとろみの餡がかけられたもので、最後にほっこりする優しいお味でした。
どこか懐かしく落ち着いた空間でいただく美味しいお蕎麦と心づかい。
たくさんのファンがいることに納得です。また松江に来た際には再訪したいと思います。
ごちそうさまでした。
[中国山地蕎麦工房 ふなつ]
〒690-0875 島根県松江市外中原町１１７−６
電話：0852-22-2361
営業時間：11:00～14:30
定休日：月・火
