滋賀県甲賀市信楽にある、信楽焼の窯元「大小屋」さんは、様々な信楽焼の販売の他、陶芸作品の展示やカフェ、レストランなどを備えた複合施設です。1874年創業の長い歴史と伝統を背景に、現代的な感覚と融合させた魅力的な空間となっています。そんな大小屋さんは同敷地内に新しく十割蕎麦屋「東雲(しののめ)」をオープンされたので早速、伺いました。
九州から宮大工を呼び、釘を1本も使用することなく建てられたという店舗は、木の味わいが十二分に感じられる純和風の贅沢な造り。お店の内外、トイレに至るまで床材がすべて信楽焼きというから驚きです。
店内は大きな窓によってとても開放的。
天井を見上げれば美しく見事な梁組に圧倒され、中央に置かれたオブジェや販売も兼ねた作陶家の作品も雰囲気をさらに高めてくれます。
まずは、松の司(松瀬酒造)の純米大吟醸で乾杯。
日本酒は地酒を中心に福井の銘酒「黒龍」もラインナップ。この建物でこの景色を見ながら木の香りを感じつついただく地酒の美味しさは格別です。
十割とは思えないほど細く切り揃えられた十割蕎麦は、提供された段階で香りが届くくらい香り立ち、噛むとクニクニっとしたデンプンの食感が小気味よい。そして、細麺ゆえに舌に触れる面積が大きく、それによって蕎麦の穀物の甘みが感じられます。十割蕎麦というと、太打ちでボソボソで切れ切れで固いイメージを持っている方がいると思いますが、東雲さんのお蕎麦をいただけば、そのイメージはひっくり返るでしょう。
丁寧に火入れされた鴨肉とお皿と色の対比がとてもきれいです。
鴨肉は柔らかくジューシーで肉の香りが最高です。おろし玉ねぎのソースと九条ネギがさらに美味しく食べさせてくれます。
海老が大きくてプリッとした食感に思わず笑顔になります。衣は薄く、フリットの様な軽い口当たりなので、これだけのボリュームでも食べられてしまいます。
せっかくなので温かいお蕎麦もいただきました。
釜揚げ用のお出汁と土ショウガのおろしたものが添えられます。
蕎麦がそば湯に浮かべられているので、出汁をくぐらせることなく、このまま手繰ります。
蕎麦の角が熱で溶けて丸くなったところにそば湯が絡んでスルスルと口に入ってくる。ほどよく体が温まり胃にも優しい。
サラッと口どけのいいアイスクリームは溶けるとともにソバの香りが鼻に抜け、甘さ控えめのあずきの美味しさは感動ものでした。残ったそば湯をかけると蕎麦感が増し、もり蕎麦の出汁をかけるとみたらし風になってどちらもすごく美味しかったです。
東雲さんで使用されている器はすべて信楽焼とのことで、お料理がとても映えて贅沢な気分を味わえます。それ以外にも店内は随所にこだわりが感じられる特別な空間なので、ぜひ、一人でも多くの方に感じてみていただきたいです。いづれワイン会や日本酒会も東雲さんで開催されるそうですよ。
ごちそうさまでした。
[十割蕎麦 東雲(しののめ)]
〒529-1804 滋賀県甲賀市信楽町勅旨2348−3
電話:070-2322-2220
営業時間:11:00~16:00 ※蕎麦がなくなり次第営業終了
定休日:HPをご覧ください