ら すとらあだ(中野坂上)のそば懐石は、巧みな技に頷く蕎麦の七変化と高コスパのそば前が楽しめる。

地下鉄中野坂上駅から徒歩5分ほどにある「ら すとらあだ」さん。
なかなか予約が取れず、今回はありがたいことに知人からお誘いいただいて来ることができました。
住宅街の真ん中にあり、お店まで誘導する看板や暖簾を出しているわけではないので初めての人は地図で検索してもお店までたどり着けない・・ということで、先導していただきました。

ら すとらあだ(中野坂上)のそば懐石は、巧みな技に頷く蕎麦の七変化。▲ら すとらあださんの目印

お店はごく普通の家で外から中の様子は分からず、表札も店名も書かれていません。
テントウ虫のスポットライトが唯一の目印でしょうか。古風なインターホンを押すとエプロンを付けたスタッフの方が扉を開けて声をかけてくださってようやく「あ、ここがお店なんだ!」と実感します。1階のカウンターとテーブル席はすでに満席で、2階に通していただきました。

お料理はコースのみとなっていて、前半にそば前の料理が供され、後半は蕎麦が怒涛のように続く構成になっています。まずは、そのままいただく1番出汁と野菜の炊き合わせ、大鰐温泉もやしと青菜のおひたし、白子の茶わん蒸し、なめらかでコクの強い自家製豆腐、ごぼうと焼きナスのジュレかけ、衝撃のブリ大根、青菜と鴨肉団子の椀、きのこの椀そば粉餡かけ、トマト豆腐、食べる自家製XO醤 etc、そして、そばがき、お蕎麦と続きます。

ら すとらあだ(中野坂上)のそば懐石は、巧みな技に頷く蕎麦の七変化。▲ブリ大根

醤油で甘辛く煮たブリのほぐし実がうす味の出汁を含ませた大根に盛り付けられた、すごく新鮮な見た目のブリ大根。ブリの実がほぐしてあるから口どけがよく、フレッシュな香りが残っている大根がさっぱりとさせてくれます。こんなブリ大根は初めてでした。

ら すとらあだ(中野坂上)のそば懐石は、巧みな技に頷く蕎麦の七変化。▲きのこの椀そば粉餡かけ

香りの強いきのことそば粉を使った餡がすごく調和して、食べ進めていくうちに和食というよりフレンチのスープを飲んでいるかのような錯覚を覚えました。

ら すとらあだ(中野坂上)のそば懐石は、巧みな技に頷く蕎麦の七変化。▲蕎麦掻

挽割りに近い極粗挽きのそば粉で練り上げたそばがきは、ねっとり食感の中につぶつぶ感があって、口の中で転がすように食べると豊かなそばの風味が楽しめます。天然塩を少しつけると甘さが際立って、お酒が欲しくなる。

ら すとらあだ(中野坂上)のそば懐石は、巧みな技に頷く蕎麦の七変化。▲長崎県産(対馬在来)

黒粒を完全除去して挽いた蕎麦は、濁りのない純粋な甘さと甘やかな香りがあって、1皿目の蕎麦として最高でした。

ら すとらあだ(中野坂上)のそば懐石は、巧みな技に頷く蕎麦の七変化。▲福井県産(大野在来)

切幅2cm近くあろうかと思うほど、ピロピロとしたきしめんのような平打ち蕎麦。
麺の厚みが薄いから、これだけ幅広でもつるっといただけて、噛むほどに蕎麦の旨みを感じます。

ら すとらあだ(中野坂上)のそば懐石は、巧みな技に頷く蕎麦の七変化。▲広島県産

少し粗さの残る中太の蕎麦は、モチモチした強いコシがあり、くるみのような香りがあります。

ら すとらあだ(中野坂上)のそば懐石は、巧みな技に頷く蕎麦の七変化。▲宮崎県高千穂産(3年熟成)

皮をちょっとだけ残した状態で粗挽きしたそば粉を細打ちにした蕎麦。
粗挽きならではのガツンとした風味と甘みがあります。

ら すとらあだ(中野坂上)のそば懐石は、巧みな技に頷く蕎麦の七変化。▲茨城県産(3年熟成)

玄そばを丸ごと製粉した、玄挽き蕎麦はこの1種類だけでしたが、熟成した濃厚な味わいと雑穀味は他とは一線を画します。

ら すとらあだ(中野坂上)のそば懐石は、巧みな技に頷く蕎麦の七変化。▲近江牛もつ温そば

臭みのないモツの脂の旨さと甘さ。白菜、ネギから出るエキスが出汁に染み出て、これだけいろいろなお料理やお蕎麦を食べてきたのにサラリと食べられてしまう満足度の高い1杯。香りも味も濃厚な玄挽き蕎麦の後だとどんな蕎麦でも引き立たないと思っていたんですが、メニュー構成と順番はさすがです。

コースの品数は蕎麦を加えると15種類を超え、一つ一つに丁寧な仕事がなされています。お料理の味はもちろん、ボリュームやお値段を考えると非常にコスパが良く大満足でした。日本酒もご主人の好みでいろいろなものが揃えてあるようなので、きっと美味しいお酒に出会えると思います。

ら すとらあだ(中野坂上)のそば懐石は、巧みな技に頷く蕎麦の七変化。

年季の入った手挽きの石臼。この石臼で今回いただいたお蕎麦が生まれていて、挽き方で様々な個性を挽き出しているわけですね。粉屋だからその仕事の大変さはよく分かります。素晴らしい体験をさせていただきました。

ら すとらあださんのお料理はすべてご主人一人で切り盛りをしているので、混雑していると料理の提供にかなり時間を要します。僕たちは12:00過ぎに入店し、16:00過ぎにお店を後にしましたので、伺う際には時間に十分余裕をもってゆっくり楽しんでください。

ごちそうさまでした。


[ら すとらあだ]
〒164-0012 東京都中野区本町2丁目41−2
電話:03-6276-8364
営業時間:(水~金)18:00~21:00/(土)12:00~15:00
定休日:日、月、火

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