長野県東筑摩郡山形村にある、そば処 木鶏（もっけい）さん。
以前、「信州そば切りの会」の会員の方々が福井にそば研修に来られた際、弊社にもお立ち寄りいただいたのですが、その中に店主の塙さんもいたご縁で、それ以来、仲良くさせていただいており、昨年の福井そば博における蕎麦ブースに信州そば切りの会の方々が出店していただきました。
そんな貴重なつながりをいただいたこともあって、今回は木鶏さんに伺いました。
落ち着きのある外観と品よく掲げられた暖簾が素敵です。
入口入ってすぐに信州そば切りの店の理念と使用しているそば産地が掲げられており、この日は木鶏さんのある山形村で栽培された乗鞍在来種。下に備え付けてある木札を見ると、キタワセソバ、鈴ヶ沢在来、入野谷在来、開田早生、信濃1号、ナガワノカオリ、奈川在来など、いかにも信州らしいラインナップ。季節ごとに替わるこれらの品種を食べ比べてみたいものです。
通された席に手書きのメッセージに心がじんわり温かくなって、長旅の疲れが軽くなった気がします。
軽くビールを挟んで、飲み比べ日本酒をおまかせでお願いしました。
▲カウンター越しのオープンキッチン
ライブ感のあるキッチンでお料理を提供したかったという塙さんこだわりの劇場。
和食料理店よろしく、目の前で料理が完成していく様を見れるのは、お客側としては嬉しいですし、一般的なお蕎麦屋さんではお目にかかることの少ない釜場が目の前にあるので、食事の美味しさと楽しさが倍増すること間違いなし。4名以下の場合は、ぜひカウンターをお薦めします（笑）
左：【天明（てんめい）】 純米大吟醸 おりがらみ本生（福島県 曙酒造）
右：【夜明け前】純米吟醸 生一本しずく採り（長野県 小野酒造）
塙さんの故郷のお酒「天明」は、とにかく仕込み水がやさしい。柔らかく甘みがあって米の旨みを包み込むような口当たり。余韻も優しく香ってスッと消えつつも舌には米のほのかな甘みが残る。実に良いお酒です。
そして、「夜明け前」。塙さん、僕の好みを知ってたの？ それとも僕の心の声が聞こえたのかい？と思うほど、1発目に出てきてびっくり。実は長野のお酒で僕が一番好きな銘柄で、初めて飲んで以降、長野に来たら必ず買って帰ります。華やかでありながら強すぎない吟醸香とスムースな飲み心地。やっぱり美味しい！いつもは福井に帰って呑むことが多いので、当然、福井の食べ物と合わせることになりますが、今夜は信州の食べ物と楽しむことができるんですから幸せです。
▲馬刺し（赤身もも肉）
まず、お酒に合わせるは馬刺し。長野県内で食べられている馬刺しのほとんどが地元産ではないそうですが、長野に来たらなんか馬刺しです（笑） 臭みがなくしっとりした肉質で赤身の味が濃い。お好みで、ニンニク味噌、塩ごま油、お醤油でいただきます。
▲信州吟醸豚 溶岩石焼き
脂がサラリと軽く、肉に甘みがあって柔らかい。溶岩による焼き目の加減によって香ばしさもプラスされてお酒が進む。
この他、鶏わさ、砂肝、手羽唐揚げ、レバー・ハツ塩焼き、山形村名産長芋フライなど、鶏料理を中心に夜明け前を存分にいただきました。
▲もりそば
〆は乗鞍在来種のもりそば。
福井在来とは穀物香の質がちょっと異なり、くるみのような深く甘やかな香りと濃い豆乳のようなコクがあって、ちょっと例えが難しんですが、口の中で咀嚼していくと乳化していくような味わい。なんというか、噛むほどにくるみそばを食べているような錯覚が起こって、これが結構クセになります。8割方出来上がっていたので夜明け前になる前に帰ろうと思いつつも、こんな在来もあるんだなぁ・・と勉強になる食体験をしました。
最後は塙さん（中央）と山形村で乗鞍在来種を栽培する農業生産法人 竹田の里 代表の神通川さん（右）とで酒盛り（もとい、そば談義w）。信州と福井のそば文化の違い、近からず遠からずのそれぞれの在来品種の栽培に関して、先日のキャンピングカー旅行やプライベートの話なども交えながら、旨い肴とお酒と蕎麦で最後まで楽しいお話ができました。
ついつい飲みすぎてしまいましたが、こんな楽しい夜は久方ぶりです。みんな似たような年齢でしがらみがなく共通の強い志を持っているから、腹を割って情報交換できたんですね。
またお会いしましょう。
[そば処 木鶏（もっけい）]
〒390-1301 長野県東筑摩郡山形村５５１１−７
電話：026-398-2099
営業時間：（日・火・水）11：30～14：00／（木・金・土）18：00～21：00
定休日：月
