姫路魚町の天麩羅 團(だん)で、斬新な天ぷらとの日本酒ペアリングと手打ち粗挽き蕎麦を堪能する。

姫路駅を姫路城口(北口)へ抜けて少し歩いた魚町は、飲み屋さんが連立する繁華街で、ここに素材に妥協しない斬新な天ぷらと毎日、手打ちする粗挽き蕎麦が楽しめる天麩羅 團があります。

お店はビルの1階奥にあり通りからは見逃してしまいがちなので、ちょっとステルス性がありますが、それだけに店内はとても静か。着物を来た中居さんと店主の今西さんが出迎えてくださいました。

姫路魚町の天麩羅 團(だん)は、斬新な天ぷらと粗挽き手打ち蕎麦が楽しめる。▲日本酒呑み比べセット

まずはビールと日本酒呑み比べセットで喉を潤します。
日本酒好きのお客様が多く来店されるため、常時10種類ほどの日本酒を取り揃ており、日に日にラインナップが増えていくそうです。また、場所柄、姫路以西のものが目立ち、福井では見慣れない蔵元ばかりなので興味深く味わいました。

姫路魚町の天麩羅 團(だん)は、斬新な天ぷらと粗挽き手打ち蕎麦が楽しめる。
酒器で味わい方が大きく違うので、お酒ごとに好みに合わせてお猪口を選ばせてくれるのは酒呑みにとって嬉しくて楽しいサービス♪

姫路魚町の天麩羅 團(だん)は、斬新な天ぷらと粗挽き手打ち蕎麦が楽しめる。▲先付け(右上から)大人のポテサラ、筍、鰆の燻製たたき、ふろふき大根、團卵

大人のポテサラはじゃがいも本来の味を楽しめるように調味料の味付けを最小限に抑えてあり、甘さの引き立ったじゃがいものペーストを食べているようです。切る前に藁で軽く燻した鰆のたたきは皮目がパリッと香ばしくほんのり温かい。お店特製の團卵(だんたまご)は味がしみ込んでねっとりしたの黄身が美味しい。天ぷらを前にお酒が進んで仕方ない(笑)

姫路魚町の天麩羅 團(だん)は、斬新な天ぷらと粗挽き手打ち蕎麦が楽しめる。▲(右上から)活車海老、活車海老の梅ソース、姫路レンコン、山菜(たらの芽、こしあぶら)

車海老は必ず活けを用意してお客様の目の前で揚げるんだそうです。
海老をがぶりと一口食べると身の断面の中心がほのかに生の状態でプリッとした食感が良く甘みが強い。梅ソースは大葉が巻かれていてさっぱりしています。しっぽも煎餅みたいでポリポリ残さずいただきました。レンコンの中でも繊維質が強いという姫路レンコンは、ホクホクでさっぱりした甘さ。粘りが強くモチモチした馴染みある加賀レンコンとは対極の美味しさ。

姫路魚町の天麩羅 團(だん)は、斬新な天ぷらと粗挽き手打ち蕎麦が楽しめる。▲(右上から)キス、桜えびのかき揚げ、海鮮揚げ、あわび

キスはサクッフワッと食感で生臭みは一切なく、むしろ上品な甘みと白身魚の良い香りが立ち、桜えびのかき揚げは、生の桜えびを贅沢に使ってこちらも外はサクサク、中はフワフワの絶妙な食感。カリカリになるまで香ばしく揚げてあるものしか食べたことが無かったので、この食感、この風味は初めての経験でした。

海鮮揚げはカニみその上に雲丹をイカと海苔で巻いて揚げたものの上からいくらをとろりとトッピングした見た目にも豪華で華やかな逸品。口に入れると旨みの要素がいろいろと溢れ出し、日本酒がとまらない。そしてアワビは生だと固いので一度、蒸して柔らかくしたものを揚げているそう。シャクっと歯切れよく噛み切れるアワビは汐の香りと旨みがたまらない。奥歯で噛めばむちむちっとした食感が楽しめてクセになります。

それにしても目の前で揚げるところ見ていて、天麩羅ってすごい世界なんだなぁ~とつくづく思います。一つ一つの食材に対してすごい神経を使って調理しているのが分かります。火入れの温度・時間など、油の中に入れてしまえば終わりというか、その中で最高の天ぷらを作るために自分に何ができるか?みたいな「天ぷら道」みたいな気迫、気概みたいなものを感じます。

ここから変態チックな創作天ぷらが出てくる後半戦です(笑)

姫路魚町の天麩羅 團(だん)は、斬新な天ぷらと粗挽き手打ち蕎麦が楽しめる。▲和牛のすき焼き風

A5ランクの牛肉に薄く衣を乗せて、表面だけサクッとレアに揚げた天麩羅。
濃厚な卵の黄身にドボッと付けて食べたらもう言葉になりません。「黄身は全部使わないでくださいね!」と言われたので半分残したら、その黄身を使ってトリュフの香りを纏った一口サイズのTKGに仕立ててくれました。

姫路魚町の天麩羅 團(だん)は、斬新な天ぷらと粗挽き手打ち蕎麦が楽しめる。▲ヤングコーンと万願寺唐辛子

ヤングコーンは香りが逃げないよう目の前で生の房から取り出し、揚げた後に備長炭でさらに焼き目を付けるという一手間。これによってヤングコーンの爽やかな香りに燻製のような香りがプラスされ、噛んだ時のみずみずしさと甘みがたまりません。万願寺とうがらしも同様に。サクッと香ばしく仕上がっていて、甘だれと最高の相性で女性1番人気の天麩羅だそうです。

姫路魚町の天麩羅 團(だん)は、斬新な天ぷらと粗挽き手打ち蕎麦が楽しめる。▲フォアグラとフレッシュオレンジ

フォアグラは天麩羅ではタブーなんだそうです。
理由は油の高温で溶けちゃうから。今西さんは試行錯誤の末にこの天ぷらを作り上げ、フレッシュオレンジの酸味とオレンジピールの香りを活かしてフォアグラをさらに美味しく食べさせてくれました。

姫路魚町の天麩羅 團(だん)は、斬新な天ぷらと粗挽き手打ち蕎麦が楽しめる。▲粗挽き手打ち蕎麦

毎朝、打つという日替わりの手打ち蕎麦。
この日は丸抜きをベースにした粗挽きタイプ。

姫路魚町の天麩羅 團(だん)は、斬新な天ぷらと粗挽き手打ち蕎麦が楽しめる。
別皿で軽く煎った丸抜きをすりこ木で粗く砕いたものが添えられます。
蕎麦の香りをさらに感じられるようこれを出汁に入れてもいいし、蕎麦にパラリと一振りしても美味しい。

姫路魚町の天麩羅 團(だん)は、斬新な天ぷらと粗挽き手打ち蕎麦が楽しめる。
上品な白系の麺線に粗粒がプツプツ浮かんで、のど越しの良い粗挽き蕎麦に仕上がっています。天ぷらもお蕎麦も素材の味だけで十分美味しいので出汁は使わなくてもいいかも。ほとんど何もつけずに美味しくいただきました。

魚町にはそば専門店が数件あるらしいのですが、飲んだ後の〆にこの蕎麦だけを食べにやってくるお客様もいて、深夜に差し掛かる時間に女性2人がお蕎麦を食べていらっしゃって、近隣のそば店よりここのお蕎麦の方が美味しいという話をされていた姿が印象的でした。

最後に店主の今西さんと撮らせていただきました。

姫路魚町の天麩羅 團(だん)は、斬新な天ぷらと粗挽き手打ち蕎麦が楽しめる。

僕は生まれつき胃もたれしやすい体質なので揚げ物全般をあまり多く食べられません。
食べる際にはレモン汁とか酢醤油、大根おろしなどを付けてさっぱりさせないと結構きついんですが、今回、かなりの品数を食べたにもかかわらず胃がとても軽い。今西さんにお聞きすると、カラッとサクッと仕上げるために太白ごま油を贅沢に使用して、多い時には1日に2度、油を交換するんだそうです。材料選びから調理、オペレーションに至るまで、いかにお客さんに楽しんで食事をしてもらえるかということをとてもよく研究していらっしゃるな、とお料理やメニュー、店づくりを見て感じます。

姫路は大きな城下町だからでしょうか、男性は豪快で豪傑。女性は一見、控えめに見えてその実、男性を紐で操る策士のように見えました。姫路で食事をしたのは人生で3.4回ほどですが、もっと姫路を知りたくなりました。

今西さん、ごちそうさまでした。

[天麩羅 團(だん)]
〒670-0905 兵庫県姫路市魚町129 花むらビル1F
電話:079-284-0141
営業時間:17:00~翌3:00
定休日:日曜

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