宗像市のおへその辺りに位置する住宅街の中に店を構える十割蕎麦とわっぱ飯 至(いたる)さん。
こちらは昼/夜ともに1組~2組の完全予約制で、新潟県の豊富な食材を使ったお料理と地酒のペアリングが楽しめるお店です。
車1.5台分ほどの細い路地を通っていると忽然と現れるのぼり旗が目印。
駐車スペースは1台分しかありませんので、タクシーで行くことをお薦めしますが自家用車の場合は事前に連絡しておくといいでしょう。
装飾をほぼご主人一人でされたという店内は、調度品や季節ごとの飾り付けなど細部まで丁寧に施されており、照明の加減や木の使い方、演出に至るまで素晴らしいの一言でプロ顔負けの腕前といっても過言ではありません。ぜひ実際に足を運んでご体感いただきたいと思います。
お料理はおまかせコースのみで、お料理の一つ一つ素材によって味付けや炊き方、火の通し方などを変えられているそうで、驚くことに仕込みに2日かけるそうです。
自家製ネギ味噌を挟み込んだ栃尾の油揚げは焼き立てで出してくださいました。
表面はパリッとサクサク、中の方はじゅわっとジューシーで味噌の香ばしさとネギの香りがよく合います。しかも、底に敷いてある木の香りがほんのり移った感じがまた良い!
至さんでは、「新潟の地酒4種類ペアリングコース」という日本酒のコースがあり、お猪口1杯(20g×4種/合計0.4合)から日本酒をお料理に合わせて楽しむことができるので、お酒は好きだけどたくさん飲めないという方にも飲める量に応じてコースを選ぶことができます。写真は60g×4種のコース(合計1.3合)で、美しいグラスにご主人お薦めの地酒を説明を添えて注がれます。
在来種を石臼で粗挽きにし、小麦粉などのつなぎを使わずに十割で手打ちした生粉打ち蕎麦(蕎麦刺し付き)。塩味控えめですっきりとしていながらもしっかりとした出汁感のあるそばつゆに合わせるのは辛味大根おろしのしぼり汁(中央)。薬味は赤い柚子胡椒と寒気がするほど薄く切られた白ネギ。
冷たい水でしっかりと〆られた十割蕎麦は、デンプンのくにッとした食感とモチモチ感のちょうどいい歯ごたえ。噛んでいくと粗挽きのツブツブを舌で感じることができ、香りと甘さがじわじわ出てくる。お料理をしっかりいただいた後でしたが、粗挽き十割なのにのど越し良くスルスル入っていくので、ペロリと平らげてしまいました。
至さんのもう一つの〆は、昆布出汁と素材の旨みが生きたわっぱ飯。
蓋を開けた瞬間に米と素材の香りが広がり、蒸して調理された米はとても甘い。蒸した白米はなかなか食べる機会がないので、美味しさに感動しました。
お庭の手入れもご主人さんがされているそうです。
食事の前に、ここで座りながらウェイティングドリンクを楽しむこともできるようで、福岡の閑静な住宅街の小京都と感じるくらい心落ち着く空間です。
料理の仕込みに2日かけるため営業日は月の半分だそうですが、すでに昼夜ともに3か月先まで予約が埋まっており、グループ予約が入ると仲間内で酒盛りになってしまうこともしばしばあるみたいです。でも、それも納得のお料理と演出の数々。
これからますます予約困難店になっていくと思いますので、ぜひたくさんの方に至さんでゆっくりと食事とお酒を楽しんでいただきたいと思います。今回は車で伺ったので、お酒が飲めなかったことが大いに悔やまれますが、次の機会にはペアリングを楽しみたいと願っています。
ごちそうさまでした。
[十割蕎麦とわっぱ飯 至]
〒811-3405 福岡県宗像市須恵4丁目24-2
電話:0577-62-9896
営業時間:昼〔11:00~13:00/12:30~14:30〕1組 6名様まで 夜〔18:00~21:00〕1組 4名様まで
定休日:不定休