日刊県民福井「いいね!福井人」に掲載いただきました。
[日刊県民福井 掲載記事 2015.8.12]
福井県産そば粉の魅力追求
1877(明治10)年創業のそば粉専門製粉会社の専務で、西洋料理向きのそば粉の開発、そば粉を使ったダイエットの実験に取り組み、県内のそば店はもちろん、県外にも県産そばの魅力を伝えている。
幼少期は工場に隣接した家で育った。大きな石臼に囲まれ、祖父母や両親の働く姿を見て「自分も将来ここで働くんだな」と幼心に考えていた。
しかし、子供のころの加賀さんは大きな問題があった。そばの風味や食感があまり好きではなかったのだ。転機は金沢で過ごした学生時代。県外で食べるそばは、風味も食感も今一つ。「不味いそばを食べて、実家のそばの美味しさがやっとわかった。それからは大の蕎麦好きになった」と振り返る。
同じソバの実でも、挽く速度や粒子の細かさで食感も風味も変わってくる。1人でも多くの顧客に満足してもらおうと、工場にある29台の石臼を駆使し、微妙に味の異なる200種類以上のそば粉を生産、県外のそば店にも多く出荷する。
2010年ごろ、評判を聞きつけた東京の料理店から「フランス料理のそば粉は作れないか」と依頼があった。そば粉はフランス料理にも多く使われる。中でも、そば粉を使ったクレープ「ガレット」は都会では人気料理。ところが、国産のそば粉では食感が合わないという。加賀さんは人気店を食べ歩いては食感を確かめ、粒の大きさを研究。そば粉の粒を可能な限り細かくし、1年がかりで製品化に成功。「挽き方によっては西洋料理に使えることが分かった。県産そば粉の引き出しの多さを再認識した」と話す。
ダイエット効果実証
そばの持つ健康効果にも注目している。
「そばにはダイエット効果がある」と書いてある本はたくさん読んだが、実際に試した話は聞いたことが無かった。「県外の人に先取りされるくらいなら、自分が最初に実験したい」と2015年5月3日、そば粉を使ったダイエットプロジェクトに挑戦した。米や小麦粉の代わりにそば粉やソバの実を食べるダイエットに、県内に住む男女8人に100日間取り組んでもらった。8人全員が体重や体脂肪率を減らし、効果を実証した。
「そばにはまだまだ隠された力がたくさん眠っている。全ての魅力を引き出せるよう粉を挽いていきたい」と意気込んでいる。