2026年8月30日、福井県は記録的な大雨に見舞われました。
今回の大雨により被害に遭われた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。
浸水した地域も多く、現在も復旧にあたられている方が大勢いらっしゃいます。
まずは皆さまの安全と、一日も早く日常が戻ることを心より願っております。
また、今回の大雨を受け、全国のお客様やお取引先、知人の方々から、カガセイフンや社員、そして福井のそば畑について、たくさんのご心配の声をいただきました。本当にありがとうございます。
幸い、私どもや社員、その家族に人的な被害はありませんでした。
カガセイフンの工場周辺もかなりの水が出て、一時は工場への浸水も覚悟する状況でしたが、本当にギリギリのところで水が入ることはなく、工場設備や原料への直接的な被害は免れました。
ただ、工場周辺では広い範囲で浸水が見られ、今回の雨の凄まじさを改めて感じています。
気象庁は8月30日午前4時30分、福井市、大野市、勝山市に「大雨特別警報」を発表しました。
これは警戒レベル5に相当するもので、「これまでに経験したことのないような大雨」として最大級の警戒が呼びかけられました。今回、特に私たちが心配しているのが、これから収穫期を迎える福井県産の在来ソバです。
丸岡町の生産者さんから届いた連絡
大雨が一旦落ち着いた8月30日の夜、坂井市丸岡町の生産者さんから連絡をいただきました。
「昨日深夜から今朝にかけて降った激しい雨によって、そば畑が浸水している。雨そのものは午後には落ち着き、天候も回復した。」
普通であれば、「雨が止んだから、あとは水が引けば大丈夫」と思うところです。
しかし、今回の問題はここからでした。
畑に流れ込んだ水がなかなか抜けないのです。
丸岡町は平野部にそば畑が広がっており、場所によっては周辺から流れ込んだ水が溜まりやすいところがあります。今回も雨そのものだけではなく、大量の水が低い土地へ流れ込み、畑からなかなか排水されない状況になったものと思われます。
さらに悪いことに、午後から天候が回復すると気温が一気に上昇しました。
畑に溜まった水も太陽に照らされ、水温が上がっていきます。
生産者さんからは、このまま水が引かなければ「最悪の状況も覚悟してほしい」と伝えられました。
浸水したソバが圃場の中で「茹でられる」ような状態に
ソバは、水田の稲とは違い、長時間水に浸かった状態に強い作物ではありません。
特に今回のように、ある程度まで生育したソバが冠水し、その後に強い日差しと高温にさらされることは非常に厳しい条件です。単に「水に浸かっている」だけではありません。水が抜けないまま気温が上がれば、畑に溜まった水の温度も上昇します。
生産者さんの表現を借りれば、ソバがまるで「茹でられている」ような状態になってしまうのです。根や茎、葉が高温の水に長時間さらされれば、大きなダメージを受けます。水が引いたからといって、すぐに元通りになるわけでもありません。泥が付着したり、根が傷んだり、倒伏したりすることで、その後の生育や結実に影響が出る可能性があります。
そのため、今回の被害については「どれだけ雨が降ったか」だけでなく、「どれだけ早く畑から水が抜けたか」が非常に重要になると考えています。8月30日のなるべく早い時間に水が引いた畑については、今後どこまで回復してくれるのか、まだ望みがあります。一方で、夜になっても水が残っている畑については、かなり厳しい状況になることも覚悟しなければなりません。
福井・永平寺・大野・勝山――主要産地が広範囲で被害
そして今回心配しているのは、丸岡町だけではありません。
カガセイフンが福井県産そばの原料を仕入れている主要産地である福井市、永平寺町、大野市、勝山市でも、大雨による影響が出ています。
これらの地域は地図を見ると分かるように、福井県嶺北のそば産地として横につながっています。
つまり今回の豪雨は、一部の産地だけが局地的に被害を受けたというものではなく、福井県産そばを支える複数の主要産地が同時に影響を受けていることになります。
実際、大野市では住宅の床下浸水や道路冠水、農業用施設の被害なども確認されています。
人命や住宅、道路などの被害が最優先であることは言うまでもありませんが、その上で、私たちのように農産物を原料として商売をしている者としては、これから時間が経つにつれて明らかになってくる農地や農作物への被害も非常に心配しています。
ソバについても、現時点では被害の全容を把握できていません。
これから各地域の生産者さんと連絡を取りながら、一つ一つ状況を確認していくことになります。
今年の新そばを「確保できるか」という問題
私たちが今、最も懸念しているのは、2026年産の福井県産そばを年間必要数量まで確保できるのか、ということです。
もちろん、今の段階で今年の作柄を断定することはできません。
水が早く引き、今後回復する畑もあると思いますし、浸水を免れた圃場もあります。これからソバがどこまで持ち直してくれるのか、最後まで見守っていきたいと思っています。
ただ、仮に今回の浸水によって広い範囲で収量が落ちれば、福井県産玄そばの流通量そのものが大幅に減少する可能性があります。そうなった場合、単純に「今年の新そばは値段が上がる」というだけでは済まないかもしれません。私たちにとって一番怖いのは、値上がりしても必要な原料そのものが手に入らないことです。
カガセイフンでは年間を通して多くのお蕎麦屋さんやお客様に福井県産そば粉をお届けしています。原料が不足した場合でも、できる限り現在の商品を継続してお届けできる方法を考えていかなければなりません。
そのため、今後の収穫量や原料の確保状況によっては、価格改定だけではなく、一部商品について他県産の国産そばとのブレンドなどをお客様にお願いしなければならない可能性も考えています。
もちろん、これは私たちとしてもできる限り避けたいことです。
福井県産在来種ならではの香りや味わいを楽しみに、カガセイフンのそば粉を使ってくださっているお客様が大勢いらっしゃることは、私たち自身もよく分かっています。だからこそ、まずは今年の福井県産玄そばがどれだけ収穫できるのかを見極め、生産者さんとも相談しながら、可能な限り福井県産そばを確保していきたいと思っています。
まずは水が引き、ソバが持ちこたえてくれることを願って
自然を相手にする農業は、人の力だけではどうすることもできないことがあります。
種を蒔き、生育を見守り、ようやくこれからという時に、一晩の豪雨で状況が大きく変わってしまう。毎年、生産者さんが大切に育ててくださった玄そばを仕入れ、それを製粉している私たちにとっても、今回の光景は本当に胸が痛みます。
ただ、今の段階ではまだ結果は分かりません。
水が早く引いた畑のソバが少しでも回復し、今年も福井の新そばを皆さまにお届けできることを願っています。そして何より、今回の豪雨で被害に遭われた地域の皆さまが、一日も早く普段の生活を取り戻されることを心より願っております。
カガセイフンとしても、今後、各産地の生産者さんから情報を集めながら、今年の福井県産そばの生育状況、収穫量、そして商品の供給への影響について、分かり次第お伝えしてまいります。
たくさんのご心配と温かいお言葉をいただき、本当にありがとうございます。
カガセイフン一同、頑張ってまいります。









