福岡市中央区春吉は、中洲の繁華街にほど近く、飲食店がひしめく大人のグルメエリアとして知られています。ラーメンや居酒屋が多いこの街で、静かに注目を集めているのが 「松田謹製 夜鳴蕎麦」さん。店名の通り、夜遅い時間帯まで営業されており、飲んだ後の「〆の一杯」として楽しめる蕎麦を提供しています。福岡といえば豚骨ラーメン文化が圧倒的ですが、その中であえて「夜鳴きラーメン」ではなく「夜鳴き蕎麦」を掲げている点がおもしろい。
お店はアパートの1階にあり、インターホンを鳴らして入るスタイル。
ステルス性が高く、路地を歩いているだけでは目に留まらないと思います。
夜鳴蕎麦とは、江戸時代から続く夜の屋台文化の象徴。
夜に温かい麺をすするという日本人の食文化を、現代の福岡で再解釈したのがこの店なのです。
横一直線に伸びるカウンターのみの店内は、落ち着いた雰囲気。
春吉という土地柄、仕事終わりの地元客や飲食関係者、観光客などが静かに蕎麦を楽しむ姿が見られ、居合わせた方々や店主との会話が楽しい。

▲牡蠣南蛮
ちょうどいい酢加減でマリネされている大ぶりの牡蠣。
「夜鳴蕎麦」と聞くと軽い屋台をイメージされる人も多いと思いますが、松田謹製 夜鳴蕎麦の蕎麦は、簡易的なものではなく、蕎麦好きが納得できる本格的な味わいがあります。蕎麦は、自家製紛手打ちで香りと喉ごしのバランスを重視した仕上がり。粗めに仕立てられた麺は、するりと喉を通りつつも最後に口の中で余韻が残り夜遅くでも重く感じません。

▲磯雪(いそゆき)
店主おすすめのお蕎麦。全卵をホイップさせたものを蕎麦の上に乗せ、海苔をあしらったご当地そば。ふわふわの全卵と出汁の香り、蕎麦の食感がたまりません。

▲かけそば
出汁の良い香りが鼻に抜け、挽きぐるみの粗挽き蕎麦はシャキッとしていて温つゆに負けない力強さがあります。すべてがシンプルでありながら蕎麦の香り、出汁の旨味、軽やかな後味。一つ一つの仕事の丁寧さが伝わります。

▲そば粉の焼き菓子「ガレット・ブルトンヌ」
フランスブルターニュ地方の厚焼きクッキーで、バターを使用したサクサク香ばしい食感の菓子と〆の1杯は至福です。
蕎麦だけでなく酒の肴も用意されており、軽く一杯飲みながら蕎麦を待つ楽しみがあり、蕎麦屋ならではの粋な時間を味わえるのも魅力です。中州界隈で食事をした後に「夜の締めを蕎麦にする」という新しい選択肢を提案している松田謹製 夜鳴蕎麦さんの人気の秘密は、専門店として通用するレベルの蕎麦と深夜でも身体に優しい味わい、そして食の感度の高い人たちが集まる立地。春吉の静かな路地で味わう一杯の蕎麦。ラーメンとは違う“福岡の夜の楽しみ方”を教えてくれる体験ができると思います。
ごちそうさまでした。
[松田謹製 夜鳴蕎麦]
〒810-0003 福岡県福岡市中央区春吉3丁目13-31 イル・レガーロ天神 101号
電話:070-8437-5879
営業時間:21:00~5:00(日曜日 18:00~23:00)










