ブルターニュの南西にある地方都市Vannes(ヴァンヌ)。
12世紀中世の面影がそのままに残る歴史ある街は、煉瓦造りの建物と車1.5台分の道路が四方に広がり迷路のような街並み。迷っても楽しい。どこに行っても映画の世界にいるような感覚。この街で長年、親しまれてきたガレットはどんな発見を感じさせてくれるのか楽しみにしてました。
中心市街から少し離れたSaint-Patern教会沿いの道にバラッド・クレープリー(Balade en Crêpanie)があります。開店前から何人ものお客さんが店内を確認したりメニューを見る姿がありました。
地元のシードルを始め、ヴァンヌの食材を使ったお薦めガレット&クレープ、材料に関するこだわりなどが書かれたメニューが貼り出されています。
開店早々、たくさんのお客さんがなだれ込むように入店し、あっという間に満席状態。
客層は若いカップルから年配の女性グループ、家族、祖父母と孫など、とても幅広く、地域の人たちにすごく愛されているお店なんでしょうね。
ブルターニュで栽培されたそば粉を使い、ブルターニュ伝統のガレットとクレープを提供する、ブルターニュクレープリーグルマン協会(Crêperies gourmandes de Bretagne)の認定証。
まずはヴァンヌでしか飲むことができないシードルで喉の渇きを潤します。
微発砲でさっぱりスッキリの華やかな香りがするこのシードルは今までのシードルとはちょっと違った風味があって、すごく美味しい!リンゴの品種や土壌による味の違いがこの味わいを醸すんでしょうね。この場所でしか飲めないってなるとさらに美味しさが増します。
▼オレンジの香りを付けた人参ピューレと白ハムのガレット
食材の取り合わせというかソースの発想がおもしろいですよね。さすがフランス!って感じです。
▼イカとジャガイモのガレット、チョリソーソース
近くの海で獲れたというイカは紋甲イカに似た食感で、モチモチクニクニした柔らかい歯触りが何とも心地よくて、チョリソを使ったホワイトソースとすごく合う。バター風味でちょっと酸味がきいている味付けもお見事!と思うくらいです。
またこの生地がいい!全粒の粗挽きタイプのそば粉だというのがひと目で分かります。これだけ粗いとソバ粒が舌にあたったり、いがらっぽくなりそうなものですが、おそらく生地作りや熟成には気を配っているんじゃないかと思います。実にサクッとしていて噛むと香ばしい香りが口に広がります。
また、ガレット通り(パリ:モンパルナス)やサンマロで食べたガレットは、ガレット自体に溶かしバターをたっぷり塗っているので、どこを食べてもバターの香りがガツンとくる感じでしたが、ヴァンヌで食べるガレットはガレットに塗るバターが控えめで生地本来の味を楽しむことができたのも僕としてはすごく良かったです。
▼レモン風味のシュガークレープ
グラニュー糖をまぶしたクレープを高温で焼くから飴のようにカリカリになり、クレープの中にレモン果汁を忍ばせてあるという見た目は地味でも技ありの1枚。連日のガレット&クレープによるバターの大量摂取で胃がかなり疲れていましたが、このクレープは神様のような存在でした(笑)
このバラッド・クレープリーでもクレープリー・ラ・ビオレット(Crêperie La violette)同様、クレープにそば粉がブレンドされていました。だからモチモチ食感の中にサクッとした歯切れの良さがあって、好みのクレープでした。
フランスではシードル3杯までなら車を運転しても構わないというルールになっているみたいで、クレープリーに来るとほぼ全員がシードルを口にしています。3杯も飲んだら日本人ならヘロヘロになるんじゃ?って思うかもしれませんが、シードルのアルコール度数はスパークリングワインに比べて全体的に低く10%前後です。本当に低いものだと2%とか4%のシードルもあります。
さてこの後ですが、今回の旅において最も重要な場所であるブルターニュのそば粉を製粉する工場へ行きます。工場視察の内容はこちらのブログで→ガレットの本場‐フランス・ブルターニュ視察
ガレットの旅もいよいよ終盤です。残りをお楽しみに♪
[バラッド・クレープリー(Balade en Crêpanie)]
21 Rue de la Fontaine, 56000 Vannes,France
TEL:+33 2 97 54 19 64
このブログでは、ガレット店の紹介や文化、観光に関してなどをご紹介していきます。
福井のそば粉屋として専門的な立場から、プロの話や技術、製法、栽培については以下のブログをご覧ください。
▼ガレットの本場‐フランス・ブルターニュ視察