これからも越前の在来そばに寄り添い、145年続く伝統の石臼挽きを守り、実(身)を粉にして頑張って参ります。ありがとうございます。
【福井新聞<朝刊>掲載記事(2022.7.15)】
ソバ製粉 石臼のみで
カガセイフン(福井)工場を改修
県産の香り、風味保つ
製粉業のカガセイフン(本社福井市高木中央1丁目、加賀健太郎社長)が、製粉工場を石臼製粉の専用工場に改修した。石臼や専用の脱皮機などを使うことで、在来種特有の県産ソバの風味豊かさを保つことができるという。
昨年6月に着工し、総工費約1億5千万円かけて3階建て延べ床面積約830平方メートルの工場を改修。これまで一部使用していた高速で大量に製粉できる機械製粉を取りやめ、石臼を6台増設し全34台稼働させる。製粉能力は1日当たり600キロ。
石臼製粉は一般的な機械に比べ、時間をかけてゆっくりとソバの実を挽くため、摩擦熱による「粉やけ」が生じず、香りや風味が保てるのが特徴。石臼の大きさや重さ、回転数などを調節できるため、注文に合わせた少量製造が可能と言う。
地域在来種である県産ソバは香りが高く、味が濃いのが魅力である一方で、粒が小さく皮がむきにくい。機械で粒の大きさを5段階に選別し、新たに設置した在来種専用の脱皮機にそれぞれ通すことで皮が残りにくく粒の割れを少なくなるようにした。
また、製麺室を新設し、顧客が試し打ちを行い、その場で要望を伝えられるように工夫。ほかにも雨や風に弱く不作になりやすい在来種の安定供給に向け、通常の保管倉庫以外に、3度以下で真空貯蔵する氷温庫を設置し長期保存が可能かどうか試みるとしている。
加賀社長は「全国でも極めて珍しい石臼製粉専門の工場として、お客さまの要望に忠実に応えられる環境が整った。県産そば粉をよりよい状態で提供し、ソバ産地としての認知度を高めていきたい」と話している。
同社では県産ソバ以外の石臼びきも行っているほか、機械製粉も需要があるため他社に生産委託し販売している。