粗挽きそば粉の難しさと【吉峰】抜粗挽そば粉の加水率、十割打ち/二八打ちのポイント3つご紹介。

近年の粗挽きブームによって、そば打ち愛好家の方々も「自分でも美味しい粗挽き蕎麦を楽しみたい!」というお声をたくさんいただきます。私たち粉挽き職人としては腕が鳴る想いですが、みなさん行き詰るのが粗挽き蕎麦を打つ難しさ。いつも使っているそば粉なら日ごろから打ちなれているから、日によって誤差があってもある程度リカバリーできますが、粗挽きそば粉の場合はそう簡単には行きませんよね。

粗挽きそば粉の難しさと【吉峰】抜粗挽そば粉の加水率、十割打ち/二八打ちのポイント3つご紹介。

どうやってもボロボロになる・・。
途中まではうまくいっていたのに切り終えてしばらくたつともう切れ切れに・・。

よくわかります。

今回は、粗挽きそば粉がなぜ難しいのか。
そして、粗挽きそば粉を上手く打つポイントをご紹介したいと思います。

粗挽きそば粉はそば打ちがなぜ難しいのか。

打ちやすいそば粉と粗挽きそば粉の大きな違いは粉の粒度と粉になっている部分、そしてそば粉自体の粘りです。手に取ってみれば質感やそば粉の状態ですぐ分かります。

写真の左側は打ちやすく粘りを引き出すように細かく挽いたそば粉。弊社、銘柄で言いますと【金華】特上そば粉、【水仙】抜実挽そば粉、【越前】丸挽きそば粉にあたります。そして右側が粗挽きそば粉。弊社、銘柄では【奥越】粗挽きそば粉、【吉峰】抜粗挽そば粉、【一乗】そばがきそば粉です。

粗挽きそば粉の難しさと【吉峰】抜粗挽そば粉の加水率、十割打ち/二八打ちのポイント3つご紹介。

そば粉を握って手を開いたときに指紋がくっきり残って固まっているのは粒度が細かく、1番粉から2番粉の部分がしっかりと挽きこまれて粉自体に粘りが生まれているからです。粒度帯はほぼ一定で水回りが良くブレの少ないそば粉です。

一方、右側は手を開いた瞬間にそば粉がホロホロ崩れサラサラとした質感です。例えるなら公園の乾いた砂を握ったような感じでしょうか。打ち粉や更科粉に使われる1番粉から2番粉の一部が主体でその中に2番粉から3番粉の部分が粗粒で残っているという状態です。このタイプのそば粉は粘りのある2番粉の部分を細かく挽きこんでいないので粘りが弱く、細かい粉から粗粒までの粒度帯の幅が大きいのでそれぞれに水の回り方が違います。そのため、加水率を正しく見極められる経験と打ち方を工夫する必要があります。

このように打ちやすいそば粉と粗挽きそば粉ではタイプが全く違うので、同じようにそば打ちしてもなかなかうまく行きません。そこで今回、弊社銘柄の【吉峰】抜粗挽そば粉の加水率と十割打ち/二八打ちについての3つのポイントをご紹介したいと思います。

その1、粗挽きそば粉の加水率と加水のタイミング

【吉峰】の加水率は十割で55%~65%、二八で50%~60%です(季節や打つ環境によって変わります)。

加水は計った水の9割を一気に加えて水回しし、残りの1割で調整していきます。
ほぼ一気に加水する理由は、粗挽きそば粉の粗粒に水分が行き渡るまでに時間を要するためです。2度3度と細かく分けて加水すると一見、うまく行っているように感じるのですが、なかなかまとまって来ず、その度に加水することになります。そうすると水の回り方にムラがでてしまって結果的にまとまらないまま多加水になって失敗してしまいます。

加水してからはそば粉と水分を散らしながら手の動きを細かくムラが起きないように水回しを行ってください。万遍なく水分が行き渡っていれば残りの1割+αの加水でうまく行きます。少し固いかなというくらいがちょうどいいです。

粗挽きそば粉の難しさと【吉峰】抜粗挽そば粉の加水率、十割打ち/二八打ちのポイント3つご紹介。

その2、粗挽きそば粉の生地を寝かせる

水回しがうまく行けば粗挽きそば粉の6割は成功したも同然です。
次に生地全体がビー玉くらいの大きさになってきたら、一まとめにする前にコネ鉢の上にビニール袋をかぶせて3分~5分ほど置きましょう。これによって水分が粗粒に浸透していくので切れや割れが少なくなります。生地の表面には水分がジワジワと出て汗をかいたように出てくることがあります。
粗挽きそば粉の場合、粗粒に完全に水分が浸透するには1時間ほどかかります。ですから、粗挽きそば粉は打ちたてよりも1時間~3時間経った方が香りや味わいが強いと感じます。

粗挽きそば粉の難しさと【吉峰】抜粗挽そば粉の加水率、十割打ち/二八打ちのポイント3つご紹介。

その3、粗挽きそば粉のこね方

少し固いなくらいで一まとめにしたら、生地をコネ鉢のカーブにこすり付けて粗粒に水分を押し込めるようなイメージで、圧力をかけてコネてください。コネ過ぎて生地が温かくなると後から切れますのである程度つやが出てきましたらOKです。
のしは生地が固いのでしっかり圧をかけて行ってください。割れてくるようであれば、あまり薄くせず厚めにのして細く切っていただければコシと透明感のある美味しい粗挽き蕎麦が楽しめます。

粗挽きそば粉を上手に打つために

まずは粗挽きそば粉に慣れることです。
いきなり粗挽き粉100%でトライしないで、打ちやすいそば粉半分と粗挽きそば粉半分でブレンドして打ってみてください。粗挽きの癖や打っている時の違いを感じることで少しずつ感覚が分かってきます。そして段々と粗挽き粉の割合を増やしていくと最終的に粗挽きそば粉100%で打つことが出来るようになってきます。その時には打ちやすいそば粉と粗挽きそば粉では打ち方の違いがはっきり分かると思いますし、そば粉の状態を見ながらそば打ちしているあなたがいるでしょう。

美味しい粗挽き蕎麦をご家庭でも美味しくお召し上がりください。

[3月29日(火)]
天気:晴れ
石臼工場内室温:13℃
石臼工場内湿度:39%