私たちは「福井県産無農薬栽培の玄そば」を使用し、伝統の石臼と製粉技術で試作を行い、業務用そば粉を作り上げます。
0120-17-4578
8:30~17:30(土日祝日休み)
大本山永平寺まで徒歩5分という好立地、参道の途中にあるお店です。国内外から多くの観光客が来られる場所で、自慢できる“永平寺そば”を確立させたいと相談がありました。コロナ禍を好機とも捉えて営業に励む井上さんにお話を伺いました。
昭和4年、私の曾祖母がこの店を開きました。地元の鉄道・京福電車(※1)がこの永平寺まで延伸したのをきっかけに店を構えたようです(現在はえちぜん鉄道)。当時から土産店として開店していましたが、参拝する人たちに朝ごはんを提供する店でもあったそうです。
※1……現在のえちぜん鉄道、永平寺までは延伸はしていない
小さい頃からお店を手伝っていましたからね(笑)。年中無休で、年越しそばの時なんてほんと忙しかったです。
そうです。大阪にいましたが結婚して福井へ戻りました。北陸新幹線が福井まで来るよ、という計画の話を聞き、跡を継ぐタイミングなら今しかないだろうと。
実際に店に立つと、「永平寺そば」と書かれている看板を見たお客様から「永平寺そば、って何や?」と聞かれることが多くて。自分も返答に迷い、何をもって「永平寺そば」というのだろう、と。これまで観光バスで来られる大勢の受け入れをしていたもので、量をこなすだけで精一杯という状況でした。だからうちの食事処に強みがないんです。お客様から蕎麦について聞かれるたび、「看板に見合う“永平寺そば”を提供したい、特化しているものを作りたい」という思いが強くなってきました。そこから、「蕎麦を打つプロが必要だ、自分でできるプロになろう」と蕎麦打ちを始めたんです。
ええ、JR福井駅前で蕎麦打ちを教えてくれるところがあると聞き、学びに行きました。ちょうど1年ほど前、2020年の冬です。
観光で成り立っている永平寺の門前町ですから、相当な痛手でした。だけど「今なら学びに行ける!」と気持ちを切り替えて、越前蕎麦倶楽部へ週2回通い、厨房にも蕎麦打ち台を置いて練習しました。
こんなに毎回蕎麦も蕎麦の打ち方も違うものだとは思いませんでした。粉、水加減、ひとつひとつ自分の気持ちも合わせて異なるものなんですね。蕎麦を打つのは肌感覚だと知りました。
甘い!大量生産の機械製麺とは全く違います。味の濃さが全然違う。ますます「永平寺町産のそば粉で蕎麦を打ち、提供したい」「二八ではなく十割で」と思いが強くなりました。
蕎麦打ちも上達し、お店で蕎麦を提供する目途がついたので、永平寺町産のそば粉を探したところ山本さんから加賀さんを紹介してもらったんです。最初に、地元、永平寺町産そば粉にこだわった田舎風の「永平寺そば」を提供したいとお話ししました。
【水仙】を試作した時、打ちやすくて驚きました。打ちやすいということは作業効率が良いということですから。袋を開けて粉を触る粉がいい状態なのかがすぐ分かります。
加賀 永平寺町産は福井県内の他産地の中でも独特の旨みとナッツに似た香ばしさがあり、さらに在来種特有の個体差が大きい玄そばです。ある程度の技術でカバーしないと安定した生そばを打つことができないかもしれない、と答えました。
井上さん 僕は蕎麦打ちを始めて日が浅く経験もないけれども、上手に打てる方法を加賀さんと考えたんです。
加賀 最初から打ち手に高い技術を求めるのではなく、挽き方でムラを調整できればと考えました。永平寺町産の玄そばは安定していなくて、いいそばもあればそうでもないときもあります。言い換えれば素直に育った、自然のままの玄そばなのです。玄そばの状態をみて、質を一定に保つように製粉で工夫し、ムラがないような粉にしました。さらに打ち方を工夫すれば、大きな味の差は出ないだろうと。
井上さん このムラも悩ましかったです。
加賀 ムラを無くすということは、永平寺町産の在来種の個性を無くしてしまう可能性もあります。これも井上さんの技術と経験が積み重なれば、その必要は無くなると思っています。
井上さん 譲れなかったところは永平寺町産100%。確か、最初の試作では色が薄めだったので、色も濃く、味も濃い蕎麦にしたいと伝えました。
加賀 実はこれがほんと難しいところで。永平寺在来種の個体差をある程度安定させることに苦心しました。香り、旨み、甘み、粘りなど良い時と悪い時の差があるので、同じ生産者で同じ場所で刈り取っても異なるんですよ。
井上さん そうなんですね。うちの店専用に挽いてくれているんですね。ありがたいです。
うれしいことに、「おいしい」という言葉をよく聞くようになりました。お客様が蕎麦を残さず食べてくれることもこの上なくうれしいです。
私ともう一人スタッフがいます。繁忙期は蕎麦が間に合わず、私は子どもをお風呂に入れてからまた店に戻って蕎麦を打ちます。なかなか大変なシフトですが、苦ではありません。
井上さん ええ、土産用に昨年春に開発にかかりました。ちょうどコロナ禍のちょっと前あたりです。日持ちさせるため小麦の配合を増やせばいいのですが、どうしてもそば粉の配合を多くして味を出したくて。そば粉の割合が増えると、機械製麺だと麺が切れてしまうんです。
加賀 試作に付き添っていましたが、福井県在来種独特の粘りが邪魔して、製麺できないこともありました。粘りがいいのに活かせない、製麺機との相性もありましたね。
井上さん 温風乾燥のとき、折れたり落ちたり麺にならない乾麺が一定量あるそうですが、加賀さんの粉だとロスがないそうです。製麺会社さんが驚いていましたよ。
昨年12月にネットショップを立ち上げて販売をしています。コロナ禍なので発売後、巣ごもり需要も狙って売り出していきます。乾麺市場はまだまだ伸びしろがあると思います。
まず“永平寺そば”のブランド力を付けたいです。価格を見直し、満足いただけるよう箸袋一枚でも変えて、いろんなことを整えたい。お客様に飲食店で食べていただき、蕎麦を土産品として購入してもらえるように。そこで販売利益を確保できる店舗経営を考えています。
そのために麺の太さ、厚み、味わいがうちのオリジナルであることを確立させたい。手打ちの十割で蕎麦を出すようにしてからは、お客様にまずは塩で食べてほしいと食べ方も伝えています。来店が望める状況ではありませんが、それならば、と乾麺とともに生麺も通販でアピールしていきます。県内外のファンを増やし、おろしそば以外の食べ方もある、ここでだけ食べられる蕎麦を提供していきたいです。
「井の上」さんは永平寺の参道に差しかかるとまず目に飛び込んでくる好立地のお店です。広い駐車場も保有しているので、車を止めてゆっくり永平寺を散策した後に戻って食事ができるので、観光客も入りやすい店です。“永平寺そば”と銘打って提供するお店はたくさんありますが、永平寺町産のそば粉をちゃんと使って正直に蕎麦を打っているお店はごく限られます。そういう意味で「井の上」さんは純粋に永平寺在来の美味しさを味わえるお店であると私たちが保証します。同じ福井在来の中でも永平寺在来は独特の甘みや香ばしさがあり、昔ながらの懐かしい味わいを感じられる蕎麦です。
「永平寺門前 井の上」
〒910-1228 福井県吉田郡永平寺町門前
電話 :0776-63-3333(代)
営業時間:8:30~17:00(11月~3月は16:30)年中無休
駐車場 :あり
アクセス:北陸自動車道「福井北IC」より車で約10分
ホームページ:http://www.eiheiji-inoue.co.jp/
ネットショップ「永平寺そば極(きわみ)」https://eiheiji-kiwami.jp/
永平寺まで徒歩5分
自分のお店のオリジナルそば粉をご提案・試作したい方は
そば粉のご相談・お見積り・サンプル請求・ご試作依頼はこちらから
ご提案・試作依頼フォーム
ご相談は無料です。写真や資料を添付できる機能付き。お打合せがスムーズです。
福井在来そば粉がわかる資料をお届け
インフォマート対応