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蕎麦鑑定士 加賀健太郎

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六代目 加賀健太郎(かが・けんたろう)

株式会社カガセイフン 代表取締役
全国麺類生活衛生同業組合連合会認定 蕎麦鑑定士。
1981年福井県生まれ。

幼少の環境が私の味覚を育てた

100年以上働く石臼がひしめく製粉所で、私は育ちました。
幼少時代の遊び場は、石臼と製粉機械が並ぶ大きな工場。
そば粉が常にある環境で、四代目である祖父から味覚教育を受けてきました。

祖父の味覚教育とは、単においしいものや高価なものを食べるというのではなく、甘み、辛味、苦み、旨み、酸味、塩味をできるだけ幼いうちにさまざまな食材から感じさせるというものでした。

例えば福井の郷土料理である鯖(さば)や鰯(いわし)のへしこ、汐雲丹(しおうに)、煮たおここ(たくわんの煮物)や里芋の煮っころがしなどを食べていました。蕎麦は毎週のように食卓に並び、小腹が空けば工場からそば粉を取ってきて蕎麦掻(そばがき)を作ってもらったものです。また、私のあそび場は石臼が回る工場。挽きたてのそば粉はきな粉のように甘いので石臼からこぼれ落ちるそば粉をよく舐めていたものです。

祖父からは「食材のおいしさや感じたことを言葉で伝えられるようになりなさい」と言われていました。「どのようにおいしいのか、どんな香り・甘さがあるのか、何に似た食感なのかということを説明できるように」と。
言葉で表現できなければ、蕎麦のように淡白で他産地や他品種との差がほとんどない食材を表現するのは難しい。
「農産物のソバ」を扱う商売をしている以上、食のプロよりも「料理の蕎麦」に関して舌が肥えていないといけない。
そのためには日ごろからさまざまな食材や旬な食材を口にしつつ、家族の会話の中でおいしさを具体的に言葉にして表現し合うことによって舌や感性が磨かれる、というのが祖父の考えでした。

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20代、福井を離れて知った蕎麦の味

実は、幼い頃は家で食べる蕎麦があまり好きではありませんでした。太くて固くてボソボソしていて子供の顎(あご)では食べにくかったのです。しかし、福井を離れ学生生活をしていた時に、たまたま入った蕎麦屋の蕎麦があまりもまずくて愕然としました。そこで蕎麦の食べ歩きをしてみたところ、蕎麦を残したことのない私がどのお店に行っても1人前の半分ものどを通りませんでした。
そのとき、今まで家で食べてきた蕎麦がいかにおいしくて本物だったか、に気づかされたのです。どこの蕎麦店より挽きたて打ちたて茹でたての蕎麦を食べて育ってきているわけですから当たり前な話です。

生まれる前からそばにある石臼の魅力と製粉の面白さに目覚めた

実家に戻り稼業を継いでからは、工場にある石臼に興味を持ちました。
作られた年代や作った職人ごとに石臼に個性があることに気づいたのです。
「同じ条件で挽いても石臼の数だけそば粉が異なる」ことが不思議で、製粉を知れば知るほど仕事が楽しくなっていきました。

そば粉の挽き方とできあがる蕎麦の関係にも関心がわきました。
昔はどの製粉メーカーもそば粉は「白い」「黒い」程度の違いしかなく、種類といえば小麦粉とブレンドされたもの、といったくらいでした。

しかし近年、さまざまな挽き方のそば粉が流通し始め、麺によって独特の色味や食感を持たせたものが出回ってきました。消費者の嗜好の変化に合わせてメーカーも研究をしています。メーカーの技術に負けないように私も勉強を始めました。

どんな石臼でどのように挽けばどういう蕎麦になるのか。
外食先で口にした蕎麦を自社で挽くならどの臼でどう挽くと再現できるか。
時には、開業店からそば粉を受け取り、改良点を探っていく日々。
30台の石臼と向き合い、試し挽きを重ねていきました。
この考えや経験が積み重なり、お客様のご要望やお話を聞きながらそば粉を作ることができるようになってきたのです。

祖父(四代目)は、福井県産そば粉の味を守るべく六代目となる私に味覚の訓練を行ってくれました。父(五代目)は、品質よりもコストや量を重要視される時代に跡を継ぎました。大量生産や輸入製品が出回る中、ひたすらに石臼挽きを守った職人です。

四代目と五代目からソバの知識、味覚の教育、確かな製粉技術と受け継いだおかげで私はそば粉の状態から仕上がりの蕎麦の味をイメージすることができます。
茹であがった蕎麦を見れば、どのような挽き方をしたのかなどもイメージできます。
店主から「仕上がりの色味」「食感」「ホシ」の加減などを聞けば、おおよそ希望するそば粉に沿ったご提案ができます。

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味をイメージできている料理のプロに私は応えたい

蕎麦打ちのプロ、料理のプロは、自身が求める味をイメージし、私にしっかり伝えてくれます。
しかしお問い合わせくださる方の中には、ご自身の求める味をイメージできていない方もいらっしゃいます。
このような場合、私が授かったカガセイフンの製粉知識と、数万回におよぶ製粉経験を持ったとしても製粉できないことがございます。ですから、お問い合わせの際は、必ず味のイメージをお持ちいただきたいのです。基となる味を実現するために私は全身全霊をかけて応えます。

これまで「お店の味」を実現されたお客様はほぼ3回までの試作で決定しています。
お問い合わせくださる方が、試作3回までにお決まりにならない場合は、ご自身の蕎麦の味にブレが生じているからかもしれません。
もちろん私自身の経験不足ということもございますので、その場合には理想とする蕎麦店や料理店をお知らせください。必要に応じて実際に私が食べに伺い確認してまいります。
カガセイフンではお客様の味覚を信じ、まずは試作3回を目途とさせていただいております。

無農薬栽培、福井県産ソバが割高な理由と試作費について

福井県産の在来種は昔ながらの蕎麦の味と香りを伝える品種です。
無農薬栽培の玄そばですが、その分天候に影響を受けやすく栽培がとても難しい品種でもあります。さらに畑の面積当たりの収穫量はかなり少なく、一般的に流通している他県産地よりも費用的に割高です。
試作費用は初回1㎏1,000円(税込み・送料別)でございますが、2回目以降は、試作粉に合わせた費用をお伝えいたします。お客様によってブレンドやご希望の量が異なるためでございます。希少なそばを使った試作について一定の費用がかかること、ご理解ください。

「自分の店だけのそば粉を作りたい」というお客様のために

原材料も高く、試作費用もかかる越前そば粉。
「それでも求める味を実現するために試作をしたい。そば粉がほしい」という、熱い思いを持っているお客様に、私はお客様以上の情熱でお応えいたします。
ご希望であれば、私の都合が許す限り、出張してお客様のもとへ直接伺い、お話をお聞きします。冷やかしやお試しではなく、「理想の蕎麦を実現したい」お客様のご依頼をお待ちしております。

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蕎麦鑑定士とは

伝統的な日本蕎麦について正確で深い知識を持ち、蕎麦の香り、味、腰、喉越しなど、蕎麦特有の食味を総合的に評価できるよう、「蕎麦鑑定士養成講座」において一年以上の訓練を積んだ有資格者の呼称です。一言でいうと、〈蕎麦とはどういうものであるかを、知っている人〉のことです。(日本蕎麦.comより)

主管:
全国麺類生活衛生同業組合連合会(全麺生連) 一般社団法人 日本麺類業団体連合会(日麺連)
運営:
「蕎麦鑑定士」認定制度運営委員会
公認:
一般社団法人 日本蕎麦協会

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